フィリピンの自然災害と太陽光発電
皆様こんにちは、株式会社サステナです。
弊社はフィリピンで太陽光発電設備の設置工事を行っていますが、フィリピンでは自然災害が頻繁に発生します。
これまでの記事では、フィリピンで太陽光発電設備を設置する際の良い点に焦点を当ててきましたが、当記事ではフィリピンにおける太陽光発電設置時の自然災害というリスクについて触れ、自然災害の被害を受けづらくするための視点までをお伝えしていきたいと思います。
また、最後には2021年12月16日に発生した大型台風でフィリピンの建物や太陽光発電設備がどのような影響を受けたのかについて触れたいと思います。
フィリピンで頻繁に発生する自然災害
さて、早速ですが、皆様はフィリピンでどのような自然災害が発生するかご存知でしょうか?
右の表は2012年から2021年にかけて、フィリピンで発生した自然災害の発生件数です。

台風及び熱帯低気圧(風速17.2m/s以上は全て台風と表記。風速17.2m/s以下のものは熱帯低気圧と表記。)の発生件数が36件と、他の自然災害に比べて圧倒的に多くなっています。
日本において、台風は夏から秋にかけて発生するイメージを持っている方も多いかもしれませんが、フィリピンの台風や熱帯低気圧は1年を通して発生します。
下記の表では各自然災害がどの時期に発生しているのかを表していますが、台風及び熱帯低気圧に着目すると、10月、12月に偏りがあるものの、6月以外全ての月で台風及び熱帯低気圧が発生していることが分かります。

その他にも、洪水、地すべり、地震等の自然災害が発生しています。
自然災害の被害を受けづらくするための視点
それでは、その様な環境の中でどういった点に着目して太陽光発電設備を設置すれば良いかについて解説します。
フィリピンにおいて自然災害の被害を受けづらくするための対策は下記の5つとなります。
(1)周辺の自然災害リスクを調査する
(2)通常時の建物の耐荷重を調査する
(3)自然災害(特に台風等の風)を受けたときの耐荷重を調査する
(4)取り扱う材料のメーカー基準を順守・徹底する
(5)高い施工基準を持つ施工会社を選ぶ
(1)周辺の自然災害リスクを調査する
1つ目は太陽光発電設置個所の周辺調査です。
今回の記事では2012年から2021年にかけてフィリピンの災害件数について触れさせていただきました。
上記でも説明している通り、台風や熱帯低気圧、水害などはどこでも起こりうる自然災害ですが、発生件数が低い地震や噴火(噴火による火山灰の影響も含めて)も見過ごしてはいけません。
周辺調査を確実に行い、地震や噴火のリスクがなるべく低いところに太陽光発電設備を設置できるよう考える必要があります。
(2)通常時の建物の耐荷重を調査する
2つ目は建物の耐荷重です。
当然、建物の耐荷重を確認せずに太陽光発電設備を設置してしまうと、地震等の自然災害が起きたときに建物自体が崩壊してしまうリスクが高くなります。
フィリピンの建物は日本に比べると脆いものも多いため、日本の基準で耐荷重計算をするのではなく、現地で現実に即した耐荷重計算をすることが大切になります。
(3)自然災害(特に台風等の風)を受けたときの耐荷重を調査する
3つ目は自然災害(特に台風等の風)を受けたときの耐荷重調査です。風が吹けば、風速と太陽光発電設備の面積の分だけ風からの圧力を受けることになります。この圧力は風圧力とも呼ばれます。
台風が多いフィリピンでは、この風圧力を無視して太陽光発電設備を設置してしまうとそれだけ設備が破損するリスクが高まりますので、風圧力も無視せずに調査を行い、太陽光発電設備を設置することが大切です。
(4)取り扱う材料のメーカー基準を順守・徹底する
日本で仕事をしていると当たり前のように思いますが、その当たり前が海外でも同様とは限りません。
特に架台メーカーやパネルメーカーが定める施工基準は太陽光発電設備を長期的に扱う上で必ず遵守しなければならない事項です。
架台やパネルの特性を理解している会社に依頼をすることが大切です。
(5)高い施工基準を持つ施工会社を選ぶ
施工会社は各社で独自の施工基準を設けています。
サステナでも、独自に積み上げてきた施工基準や世界に通じる基準を持つデベロッパーとのやり取りで培った施工基準(欧米等でも適用されている工事基準)がありますが、当然この施工基準が高ければ高いほど安心して工事を任せることが出来ると言えます。
高い施工基準を持ち、フィリピンの特徴も理解した上で施工する会社を選ぶことが大切です。
2021年12月16日の台風で受けたフィリピン国内の影響
ここまでフィリピンにおける太陽光発電設備設置時の自然災害リスクとその対策について触れてきましたが、最後に2021年12月16日にフィリピン国内で発生した大型台風でどのような影響があったのかについて触れたいと思います。
下の画像は、フィリピン国内の状況です。



台風は260km/hの風速で島に上陸し、建物や送電線、看板、船・飛行機等に甚大な被害をもたらしました。
サステナの従業員もフィリピンに滞在していますが、台風通過後の状況はとても悲惨だったと言います。
そのような中で、サステナで元請としてご依頼頂いていたお客様先の太陽光発電設備の状況が心配ですぐに確認に行きました。
建物の屋根の一部と配線ラックの蓋の1部が飛散しましたが、太陽光発電設備はほぼ無傷で電力配電会社からの電力供給が復旧したのちに速やかに通常運転(再稼働)に至りました。


サステナではお客様が想定している太陽光発電設備の設置場所が適さないと考えた場合、お客様のご要望とは別の場所や方法で設備の導入を提案することがあります。
サステナでご導入頂いた太陽光発電設備がお客様に少しでも長く、少しでも多くの利益をもたらせるよう、今後も現地での適正な検査と日本品質の丁寧な工事をお届けして参ります。
まとめ
以上、当記事では太陽光発電設備を自然災害の観点から解説してきました。
フィリピンでの太陽光発電設備設置をご検討中の方は、是非お気軽にお問い合わせください。