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トップインタビュー「太陽光発電のウソとホント」

東日本大震災による原発事故は首都圏を計画停電にまで追い込み、原子力発電の安全神話はもろくも崩れ去った。
それは同時に自然エネルギーに対する信頼を改めてクローズアップするきっかけともなり、特に一般家庭の電力供給において太陽光発電への期待は高まるばかりだ。
しかし、急速に普及する太陽光発電を巡るトラブルは後を絶たず、せっかく設置しながら無用の長物となっているケースも少なくない。

太陽光発電のスペシャリストが語る、太陽光発電のウソとホントとは!?

家庭用電気代のほうが産業用よりも高い!という現実

司 会:2011年3月11日の東日本大震災の影響もあり、太陽光発電は家庭用の自然エネルギーシステムとして大きな注目を集めるようになりました。反面、果たして太陽光発電だけで大丈夫なのか、結局は高くつくのではないかという疑問の声も上がっています。

小田島:1997年のCOP3(京都会議)以降、日本でも地球温暖化対策としCO2を極力出さない太陽光・風力・地熱・水力などを利用した自然発電システムが注目され始めました。ただ、コストの割に供給できる電力が乏しいということもあり、同じCO2を出さない発電なら膨大な電力を生み出せる原子力発電のほうがいいということで、日本はどんどん原発に依存するようになっていったわけです。そんななか、東日本大震災が発生し、原発の危うさを人々が肌で経験したことで、クリーンかつ安全なエネルギーの需要、つまり一般家庭における太陽光発電への期待が急速に高まってきました。

司 会:太陽光発電がクリーンエネルギーで人にも地球にも優しいということは、みんなわかっていると思います。それでもなかなか普及しないのは、やはり導入コストが高過ぎるからなのではないですか?

小田島:確かに導入コストだけを見れば、太陽光発電は高価な商品だと思います。ただ、それはあくまで一時的なものであって、長い目で見ればこれ以上コストパフォーマンスに優れた住宅設備は他にありません。これは自信を持って言えます。さらに現在の電気料金システムは、「一般需要家」と呼ばれる私たち一般家庭が最も高い電気代を支払っているという事実がありますから、一般家庭こそ太陽光発電を取り入れることをお勧めします。

司 会:家庭の電力が生活のためなら、企業の使う電力は利潤を追求するためのものですよね? それなのに家庭用の電力のほうが事業用、産業用の電力よりも高いのですか?

小田島:一般家庭と大企業では、そもそも基本料金からして全然違いますし、大企業向けの料金体系だと使えば使うほど単価が安くなるのに、一般家庭用向けの場合は逆に使えば使うほど高くなります。使用量に応じて段階的に高くなっていくんです。理不尽だと感じるかもしれませんが、電力会社を自分で選ぶことが出来ない日本ではそれを受け入れるしかなく、そうした現実を受け止めながらも「泣き寝入りせず自己防衛できるのが太陽光発電」なんです。

司 会:電気代は年々上がり続けていると聞きますが?

小田島:デフレに呼応して世の中すべての物の値段はずっと下がっていますが、電気代だけはずっと上がり続けています(笑)。いまはハンバーガーが100円で食べられる時代です。にも関わらず、電気代はずっと右肩で上がっています。この調子でいったら10年後には下手をするといまの倍くらいになっているかもしれません。

【参考資料】 1965年と2010年の料金比較

項  目 値上がり率
調理食品 2.2倍
外食費 1.7倍
電気料金 6.9倍

※総務省統計局調べ

司 会:それほど電気料金が高いとなると、毎日のことだけに「いかに電気代を抑えるか?」が大切だと思います。東日本大震災以降、節電に対する意識も高まっていますが、太陽光発電には「余った電力を電力会社が買い取ってくれる」というメリットもあると聞きます。

小田島:自分たちが使う電気を自宅の太陽光発電でまかなうことが出来たらそれだけで節約になりますが、「フィードインタリフ制度」というヨーロッパで始まった方式があり、これを活用することでさらに電気代の負担を減らすことが出来ます。簡単に言うと、太陽光発電で作ったエネルギーのうち、「使わずに余ったエネルギーを電力会社が高い値段で買い取る」というものです。私たちは通常1キロワットあたり約24円で電力会社から買っています。売るときには電力会社に42円で売ることが出来ます。つまり、売電価格は買電価格の実に1.75倍にもなり、電力会社から買う値段よりもはるかに高い値段で電力会社に売れる!という制度ができたんです。

司 会:それが事実だとすれば非常に魅力的なように聞こえますが、本当に電力会社に売るほどの電力を太陽光発電は生み出せるのでしょうか?

小田島:条件が合えば・・・ということになります。太陽光発電システムは遠く離れた宇宙からの太陽光エネルギーを半導体で創られた太陽電池で電気エネルギーに変換するものですから、太陽光がしっかりキャッチできる場所が必要です。一般家庭では、屋根の上に設置するんですが、屋根の傾斜や向き、かたち、面積が大切な要素となります。建物の南側に高いビルや高木、丘などがあり日照時間が短い屋根だと当然発電効率が悪くなります。また、狭すぎる屋根も費用対効果の面では投資回収には時間が掛かってしまいます。理想は周りに高い建造物等がない南向き30度勾配の片流れか切妻屋根で建坪25坪以上であれば今すぐ導入決定です。
また、太陽光発電システムを導入する際には、補助金という強い味方もあり、国や地方自治体が導入費用の一部を補助してくれるので、これを使うことで導入コストはさらに安くなります。

太陽光発電は家電ではない! まずは「自分の住宅を知ること」からはじめよう

司 会:東日本大震災はエネルギーに対する人々の意識を劇的に変えたと思います。原発事故は計画停電という都市機能そのものを脅かす事態にまで発展しました。

小田島:あれだけ長い時間電気が使えない生活というのを若い世代の人は経験したことがなかったですよね。電気がないからガスも出ない。電化製品のスイッチも入らない。テレビさえもつかない。マンションの場合は水を吸い上げるポンプが動かないから水も出ないし、エレベータも動かない。首都圏で原発の影響を受けた人々は、当たり前だったものが実は全然当たり前じゃないんだということを、皮膚感覚で実感できた機会だったと思います。

司 会:原発のリスクについても勉強できました。原発は昔から「安全であり温暖化ガスを出さないクリーンなエネルギー」としてPRされていましたが、その安全神話が脆くも崩れ去りました。考えてみれば、絶対に安全なら東京湾の埋め立て地にでも造れたはずですもんね。送電ロスもなくなるし・・・。

小田島:結果、メディアもこぞって太陽光発電を含めた自然エネルギーの大切さや、化学エネルギーの危うさを検証するようになり、それを見た一般の人たちも自分事としてエネルギーを考えるようになったのではないでしょうか。太陽光発電はちょっと高いし今までは自分には関係ないと思っていたけれど、この機会に真剣に導入を考えてみようかなと。

司 会:とはいえ、太陽光発電は初期費用が高いので、二の足を踏む人がほとんどだと思います。例えば200万円の車を買うとき、消費者は複数のメーカーのカタログを見比べて、何から何まで全部調べて、販売店にも何回も足を運びます。良いものをなるべく安く買いたいから自分で出来る限り比較検討してみるわけです。ところが太陽光発電の場合は情報が少ないこともあって、「どこで何を基準にどれを買えばいいのか?」が分からない人が圧倒的に多いのではないでしょうか?

小田島:まず頭に置いていただきたいのは、「太陽光発電システムというのは、電化製品ではなく住宅設備」であるということ。つまり、出来合いのものではないのです。車はディーラーさんに行くと完成されたものが置いてあって、それにメーカーオプションやディーラーオプションをつけていきますよね。でも、太陽光発電は住宅設備である以上、そのベースとなる住宅の状態や住宅を取り巻く環境など設置条件によって、ベストの選択をする必要があります。今では家電量販店でも太陽光発電システムが売られていますが、多くのお店ではソーラーパネルが展示してあるだけで、お客様からするとなんら判断材料がないのでメリット、デメリットの検証を含め、実感として太陽光発電を感じることが出来ない。だから、興味はあるのにそこから先に進めないという現実があるのです。

司 会:なるほど。家庭環境を含めて二つとして同じ家が存在しない以上、太陽光発電システムはカスタマイズされるべきなのに、それを検証する前につまずいてしまうわけですね?

小田島:太陽光発電というのはパネルだけではなくパワコンと呼ばれる制御変換機器をはじめ、さまざまな機器を接続して初めて完成するもので、言わばセミオーダーメイドの商品なんです。導入されるご家庭の家族構成、ライフスタイル、屋根の大きさ、向き、材質、周りの環境・・・など、すべてひっくるめて考えて総合的な視点から設計しないといけないんです。まずはご自分の家を取り巻く環境を知ること。それが太陽光発電導入に向けた最初の一歩です。

司 会:中古車業界、保険業界をはじめ、最近はどの業界でもネット見積システムが人気を集めています。太陽光発電に携わる業者もネット見積りに参入しているようですが、今のお話を聞く限り、ネットで太陽光発電システムを購入することは現実的ではないですよね? リスクが大き過ぎる気がしますが?

小田島:ネット見積りは弊社でもやっています。最近はインターネット上のマップや航空写真も発達していますから、それらを活用して屋根の形状や大きさを判断してベーシックなプランを設計することも可能です。とはいえ、写真では屋根の材質まではわかりませんし、ひょっとすると屋根自体がヒビ割れているかもしれません。また一見頑丈に見える屋根でも、もしかすると設置する機器の荷重に耐えられないかもしれません。そもそも建物の周囲に高い構造物があって日陰になっている可能性もありますし、遮られていないように見えても、季節や時間帯によって陰になってしまうことも考えられます。たとえば電柱の陰だけでも発電量に影響を受けますので、まずは現地を見て導入できるかできないかというところから判断させていただくところがスタートになります。

太陽光発電の実に6割は訪問販売、という衝撃の事実!

司 会:そうした事情があるなか、太陽光発電システムを購入する消費者の皆さんは、どこで何を基準に買っているのでしょうか?

小田島:驚かれるかもしれませんが、太陽光発電システムを導入されるお宅の60%くらいは訪問販売によるものなんですね。理由は簡単。お客様がどこで買っていいのかわからないからです。

司 会:確かにたまたま太陽光発電に興味がある人のお宅に、たまたま業者さんが来て、「補助金も出ますよ。売電もできますよ」と耳当たりの良いセリフをささやいたら、自分で取捨選択する判断基準が乏しいだけにそのまま成約というパターンも考えられますね。

小田島:それがこの業界の実態です。もちろん、良い業者もたくさんあると思いますが、そうではない業者がいることも事実で、それが導入後のトラブルにつながるケースも少なくありません。一番大切なことは、信頼できる業者からベストな商品を購入し、信頼できる業者に施工とメンテナンスを任せることです。

「量販店は安い」のウソ!

司 会:値段のことで聞きたいですが、太陽光発電は安くないので、なるべく安く買いたいと誰もが思うはずです。そこでメーカーの代理店ではなく、家電量販店やホームセンターなどで購入するという選択肢も出てくると思われますし、実際にそういうお店で買ったほうが安いのではないですか?

小田島:量販店は、実を言うと安くないんです。やはりネームバリューというか、例えばY電気でパナソニックの太陽光発電システムが売られていたら、商品や価格に対する信頼は高いですよね。他と比較する材料がない場合はなおさらだと思います。とにかく太陽光発電システムはまったく新しい商品なので、お客様もどこで何を基準に買えばいいのか、とても難しい判断を迫られています。代表的なメーカーであるパナソニックの商品なら間違いないだろうと思ってパナソニックに行っても売ってないですし、それなら身近なホームセンターや家電量販店で買おうとなるんですね。

司 会:先ほど訪問販売がシェアの6割とのお話がありましたが、それ以外だと消費者がとっつきやすいのは量販店なんですね。それに訪問販売の場合、こちらから業者に連絡すると、もしかしかしたら押し売りされるかもしれないという心配があるかもしれませんが、量販店だったら普通の洗濯機や冷蔵庫と同じように置いてあるから安心できるわけですね。

小田島:その安心料かどうかは分かりませんが、量販店は決して安くないですし、先ほども言ったように量販店といえどもすべてのメーカーを取り扱っているところはまずありません。

司 会:そこで売ってるもの、そこに置いてあるものの中からしか選べないわけですね。ちなみに量販店は、施工もやってくれるのでしょうか?

小田島:基本的に施工は外注になります。先ほどもお話したとおり、太陽光発電は家電ではなくあくまでも住宅設備ですので、量販店がお客様のご要望に100%お応えすることは難しいと思います。弊社は自社で販売したものを自社スタッフが施工し、メンテナンスまで自社で完結するワンストップ方式ですから、その点でもお客様に安心していただけると自負しています。

太陽光発電の失敗例とその理由

司 会:さて、実際に太陽光発電を導入した後、失敗した例などもあると思います。最初に受けた説明ほど発電できなかったとか、想定外のランニングコストや修復費用がかかったとか・・・

小田島:お陰様で弊社にお任せいただいたお客様からそうした声はお聞きしていませんが、一般的に一番多いトラブルは雨漏りですね。太陽光発電システムのことを熟知しておらず、実体験としてのリスクマネージメントが出来ない業者さんにありがちなトラブルです。太陽光発電システムを設置する場合、基本的に屋根に穴を空けますので、これはしっかりとした技術的な裏付けをベースに、信頼できるプロの職人さんが施工しないと大変なことになる場合があります。

司 会:機能としての太陽光発電への失望という意味ではどうでしょうか? こんなもの付けるんじゃじゃなかったという事例はないですか?

小田島:「期待するほど発電しなかった」という不満はたくさんあるのではないかと思われます。太陽光発電は本来、南向きの30°の傾斜が一番良いとされているんですけれども、その一番良い南向きに高い建物が建ってしまうと、まったく機能しなくなる可能性があります。電柱や高い木の影響を受けることもありますし。現地調査したときが冬場で太陽の光を一切さえぎるものが見当たらなかったから設置したのに、夏が来たら近くの木に葉が生い茂ってほとんど太陽が当たらなくなったケースもなどもあります。また、真夏の太陽の高さと真冬の太陽の高さが異なることから、太陽が高い真夏に現地調査を経て太陽光発電システムを導入したのに、冬を迎えたら真昼でも太陽が低く、隣の建物の陰になって太陽が当たらず、まったく発電しないようなケースもあります。

司 会:そういう場合、つまりお客様がどうしても太陽光発電システムを導入したいけど設置条件を満たしていない場合、お断りすることもあるんですか?

小田島:もちろん、お断りします。弊社の営業方針として、「OB(=太陽光発電を導入したお客様)の声を何より大切に!」という社訓があります。すでに導入していただいたお客様の声は絶対です。真理です。そんなお客様に次のお客様をご紹介いただくことが一番うれしいことでもあり、またそれは何よりの信頼の証だと考えます。もし仮に、お客様に騙し騙し太陽光発電を売ったとしたら、そのお客様はその先何年も何十年も「騙された! ひどい目に遭った!」と吹聴されますよね。太陽光発電というのは、導入時はあくまできっかけに過ぎません。そこから10年、20年と長いお付き合いが始まります。『信頼』なしにこの仕事は出来ません。

司 会:いま、10年、20年というお話がありました。考えようによっては、太陽光発電を取り付けたお客様はもちろん、その次の世代、つまり子供たち、ひょっとすると孫の代までのお付き合いを視野に入れているということですか?

小田島:最長で25年保証という業界ナンバーワンのメーカー長期保証がついた商品も扱っています。25年といえば、生まれたばかりのお子様が立派に成人して、社会人として活躍されている年頃です。もしかすると、お子様を授かっていらっしゃるかもしれません。その頃、私はリタイヤしているかもしれませんが(笑)、ずっとお付き合いさせていただきたいと思っています。

10年で減価償却できる優等生

司 会:売電に関して教えてください。余った電力は買った電力の1.75倍の価格で電力会社に売れるとのことですが、もう少し詳しく教えてください。

小田島:分かりやすく説明します。例えば太陽光発電を使って生み出された電力を100とします。そして使った電力が60だとすると、単純計算で100-60=40が余ることになります。その40は電力会社が自動的に買い取ってくれます。買い取られた電力は月単位で集約され、あらかじめ登録しておいた預金通帳に電力会社から自動的に買い取った電力相当分のお金が自分の口座に振り込まれます。

司 会:つまり、毎月の平均的な電気料金が一万円だった家庭が太陽光発電を導入したことで電気料金が6000円に下がり、4000円節約できたとします。その節約できた分を、さらに電力会社が買い取ってくれるわけですね?

小田島:一概には言えませんが、弊社のシミュレーションでは、行政からの補助金も含めると、太陽光発電の導入時にかかった費用はだいたい10年くらいで減価償却できる計算になります。

司 会:本当ですか? 再び車を例に挙げさせていただきますが、車の価値は乗った瞬間から下がり続け、10年も経ったらほとんど下取りの価値がなくなるとも言われています。その点、太陽光発電は仮にシステム導入に200万円かかっても、約10年間で元が取れるということですか? それが事実ならこれほどコストパフォーマンスに優れた電力は間違いなくほかに存在しないと思います。ただし、それはあくまで適切な太陽光発電システムを導入した場合の話であって、ひとつ方法を間違えると100万円分の電力しか生まないかもしれないし、最悪の場合はマイナスにしかならない場合もあるのではないでしょうか?

小田島:ご指摘の通り、太陽光発電はそのようなリスクを潜在的に抱えています。だからこそ、信頼できる業者ほど、設置までのプロセスをとても大切にします。現地に赴き、お客様にお話を聞き、屋根に上り、景色を眺める。屋根に上って景色を眺めながら、一日24時間、一年365日のお客様とご家族の日常をイメージする。そうしてベストな太陽光発電システムを考え、ご提案させていただくようにしています。だからこそ、時には苦渋の決断を迫られるとき、すなわちお断りする場合も出てくるんです。

近々誕生! 節電貯金

司 会:太陽光発電を導入するに当たり、消費者が賢い選択をするためには、「お客様自身がチェックポイントを持つこと」だと思います。施工面ではここをチェック!とか、管理面ではここをチェック!みたいなポイントをいくつか教えていただけますか?最終的には専門業者に相談すべきでしょうが、まずは自分の目で設計段階から確かめることが大切ではないかと思います。

小田島:家の築年数、屋根の材質、周囲の環境、屋根の向き。お客様自身でご自宅を検証していくことは普段ほとんど意識することがない住宅を取り巻く環境を知ることにもなりますし、それはそのまま太陽光発電に対する理解にもつながります。瓦を調べてみたら材質的に取付けが困難な洋瓦だったとか、玄関は北向きだから設置に不向きだと思っていたが屋根の面は理想的な南向きだったとか、パネルの設置面積が屋根全体に対して予想以上に余裕がなかったとか・・・。家の設計図を見ながらチェック項目を一つひとつ検証していくのも適切な方法です。

司 会:最後にお聞きします。太陽光発電は電気代の節約になるだけでなく、環境に対する意識が向上したり、ライフスタイルを見つめ直すきっかけにもなると思います。例えば家族で節電日記なんかを付けてみるのも面白いでしょうし、そうしたコミュニケーションを通じて家族みんなが同じ方向を向いてエネルギーというものを考えるきっかけにさえなるような気がします。そうした視点に立ったとき、エコファミリーライフとはどんなものでしょうか?

小田島:現在、『発電貯金』システムをスタートさせるべく準備中です。太陽光発電の導入によって、電気代が節約できるお話をしましたが、節約できた電気料金がそのまま子供たちやご家族のお小遣いになったら、家族みんなでワクワクしながらポジティブに節電に取り組むようになると思うんです。実は我が家はそのシステムを採用していまして、節電してたまったお金で家族旅行に行ったりしています。家の中に発電モニターという機器を設置するだけで、誰でも簡単にできるんです。

司 会:それは素晴らしいアイデアですね。毎日小まめに電気を消す習慣がつくでしょうし、毎月電気料金のお知らせが届くのが楽しみになりますね!

小田島:「発電貯金通帳」の発行も考えています。銀行の通帳と同じ形をしていて、そこに子供たちと一緒に毎日書き込んでいくイメージです。今現在、ソーラーパネルでどれくらい発電しているか? どれくらい電気を使っているのか? その結果、どのくらいの電気が余っていて売電に回せるのか? 使った電気と貯まった電気を全部書いて、一ヶ月の数値をトータルしてみたら、こんなに家族貯金が出来ました!みたいな(笑)。

司 会:お父さんと子供たちがこっそり発電貯金を始めて、母の日に溜まったお金で「おかあさん、いつもありがとう!」ってご飯に招待してあげたりしたら、おかあさんは泣いちゃうでしょうね(笑)。

小田島:人と地球に優しいエネルギーを使うことは、人類共通のテーマです。そのなかで家庭用エネルギーにおける太陽光発電の担うべき役割は決して小さくないと思いますし、そこに家族みんなが『夢』を感じて楽しみながら節電することが当たり前の世の中になれば、日本はもっと幸せな国になると思います。